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最先端ICTの発達により従来にはないビッグデータが生み出され,これを活用するツールとしてAIが一般的に使われるようになってきた.近年,応用地質分野においてもAIの適用事例は多くみられ,例えば,地質評価においてもこれまでにない定量的な評価が可能になるなど,技術革新が進んでいる.その一方,データの数量やデータそのものの品質の問題に起因する,AIによる評価の限界といったことも議論されるようになっている.そこで,最先端のAI技術を紹介すると同時に,一層の有効利用に向けた討議を行うことを目指し,本ワークショップを開催した.
ワークショップの概要は以下のとおりであり,当日は,特別講演1編,事例発表3編が報告された.また,講演後にワークショップ形式で意見交換が行われた.
日 時: | 令和3年2月10日(水)13:00-16:00 |
主 催: | (一社)日本応用地質学会 研究企画委員会 |
後 援: | (公社)土木学会 土木情報学委員会 IoT/AI活用モデル研究小委員会 |
開催方法: | WEB会議方式(ZOOM) |
参 加 者: | 102名(申込者数) |
<特別講演および事例発表>
特別講演 | 2020年代におけるIoT/AI | 土木学会 土木情報学委員会 IoT/AI活用モデル研究小委員会 小委員長 | 枡見周彦氏 |
事例発表@ | 山岳トンネル現場実務者による地質の観察評価へのAI活用・支援の試み | 先端建設技術センター | 吉川正氏 |
事例発表A | AIを用いた降雨予測の高解像度化とダム運用 | 一般財団法人日本気象協会 | 木谷和大氏 |
事例発表B | Society5.0時代の鉱山開発 | 秋田大学大学院 国際資源学研究科 資源開発環境学専攻教授 | 川村洋平氏 |
特別講演
「2020年代におけるIoT/AI<」
土木学会 土木情報学委員会 IoT/AI活用モデル研究小委員会 小委員長 枡見周彦氏
本講演では,情報通信技術をめぐる社会背景,土木学会におけるAIの導入状況,導入を受けての課題と情報通信技術の今後の展望について講演いただいた.
はじめに情報通信技術をめぐる社会背景として,情報通信白書を用いながら,説明された.
続いて,土木学会へのAIの導入状況として,ここ数年間で急速に発表数が増えている実情を紹介された.
さらに,AI導入の課題として,データのオープン化の必要性,データの数量や品質,教師データの偏りの解消,情報通信分野の人材育成が挙げられた.中でもデータのオープン化はAI技術の向上のためには必要な取り組みであり,そのための仕組みづくりについて言及された.最後に,情報通信分野の今後の展開として,教師なし学習やBIM/CIMのような共通プラットフォームの構築,自動プログラミング技術について紹介された.加えて,将来のAIと人間の関係性についても触れ,1人当たりの業務量が減る代わりに,余剰労力は新たな価値の創出に割けるのではないかとの考えを述べられた.
事例発表@
「山岳トンネル現場実務者による地質の観察評価へのAI活用・支援の試み」
先端建設技術センター 吉川正氏
本報告では,トンネル切羽の地質評価や肌落ち予測へのAIの導入事例について報告いただいた.
AIの画像解析をトンネル切羽の地質評価に導入した課題として,トンネルの現場毎に照明機器の配置や個数等が異なり,撮影写真の感度に大きなばらつきが生じことによる解析の不具合を挙げられた.この問題の解決策として,撮影要領を策定し,同じレベルでの写真データ取得が可能となったことを紹介された.また,新たな取り組みとして,トンネル掘削のブレーカー音の分析やヒートマップを用いた湧水箇所の想定,教師なしデータを用いた切羽評価が紹介された.
事例発表A
「AIを用いた降雨予測の高解像度化とダム運用」
一般財団法人日本気象協会 木谷和大氏
本報告では,AIを用いたダムの降雨予測への取り組み事例について,報告いただいた.
はじめに,ダム地点における降雨予測の高解像度化の必要性について述べられ,アンサンブル降雨予測とダウンスケーリングを用いた予測手法について紹介された.課題として,地形モデルと実地形との差異による地形性降雨予測のずれ,多数降雨予測曲線の採用判断の課題,時間経過での予測の変動を挙げられた.また,頻度が小さい洪水時の雨量データを用いての解析の難しさや,前線性降雨の予測の困難さについて述べられた.
事例発表B
「Society5.0時代の鉱山開発」
秋田大学大学院 国際資源学研究科 資源開発環境学専攻教授 川村洋平氏
本報告では,鉱山におけるAIをはじめとした情報通信技術の導入事例について紹介いただいた.
はじめに鉱山現場においては,高い生産性と安全性,低い環境負荷を目的として,AIが導入されていることについて述べられた.加えて,地下坑内で情報通信技術を活用するための通信環境整備の必要性について述べられた.AIの導入事例として,ハイパースペクトルイメージを用いた岩石判定の正確さ,坑内の景観映像に電子情報を即座に重ねた拡張現実のような手法について紹介された.
質疑応答・意見交換
特別講演と事例発表ののちに,ワークショップ形式による質疑応答・意見交換の時間が設けられた.質疑応答においては,Zoomのチャット機能により質問を集約し,類似の質疑をまとめて講演者に対して司会者より質問を行った.
質疑応答においては,データの品質や数量・保管方法等のデータの扱い,オープンデータの利用に向けた仕組み作りの必要性,情報通信技術に通じた人材の育成の必要性,AIと人の作業の役割分担等について,意見交換がなされた.
参考:開催案内はこちら
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