日本応用地質学会東北支部 JSEG TOHOKU
 
 平成29年7月28日(金)
平成29年度 日本応用地質学会東北支部
研究発表会・基調講演  当日の様子
 去る7月28日(金)に日本応用地質学会東北支部の平成29年度支部研究発表会が無事終了いたしました。一般発表のほか、5月下旬に実施した熊本地震関連調査団の特別セッションも行われ、盛りだくさんの内容でした。豪雨災害の対応などでお忙しい中、多くの参加をいただき誠にありがとうございました!
 せんだいメディアテーク7F スタジオシアターにてAM10:00から定刻通り開会いたしました。以下は当日の簡単なレポートです。当日の発表内容(プログラム)については、こちらをご覧ください。途中機材トラブルで発表順などの変更などがありましたが、大きな混乱はなく無事終えることが来ました。
 
高見支部長のあいさつ                     受付の様子
1.午前の部(一般発表、若手・シニア枠) (参加者:49名)
 午前の部は、一般発表ならびに若手・シニア枠の発表で、合計8編の発表をしていただきました。
 一般の部では、火山地質におけるテフラの検討事例、岩石剥片偏光顕微鏡観察の利用や活用法の事例紹介といった地質調査の基本にかかるもの、また、立体地図を用いた地すべりの危険度評価の試みといったデジタル技術を生かした評価事例、変質指標を用いた岩盤地すべりの検討結果など多岐にわたる発表となりました。
 若手・シニア枠としては、岩盤掘削面における簡易試験の評価・対比の事例紹介、沖積平野の堆積環境の復元・古地理の再考察、付加体コンプレックスの地質検討事例、そして、支部で実施を予定している”ジオ散歩@仙台(仮称)”に関する発表など、地質に関する様々な内容でした。
 
2.基調講演 (参加者:62名)
 基調講演は、熊本地震関連調査団の団長として現地に赴いた東北大学の遠田先生(東北支部副支部長)に以下のタイトルでお願いいたしました。
 タイトル:「数万年で阿蘇カルデラに延伸した布田川断層帯-ドローンと復興建設ラッシュで見えてきた構造-」
 発表内容は、まず、熊本地震で現れた日奈久断層および布田川断層の概要と阿蘇のカルデラとの関係について述べられました。その後、今年の5月28日~6月1日にわたって実施した熊本地震関連調査による成果について、以前に実施した調査結果や解釈などを含めてそれぞれの調査ポイントごとに解説していただきました。特に今回の調査団では、ドローンによる撮影が大きな手助けとなり、なかなか近づくことのできない断層露頭の観察が可能となり、より詳細な知見を得ることができたとのことです。
 まとめとしては、これらの布田川断層北東末端について、阿蘇カルデラの活動(リング断層)によりリセットが生じたと仮定した場合、その断層末端の成長速度の推定を試みていました。問題点はあるものの、これらの推定は断層の発達過程の解明の一助となり、応用地質学的側面への意義があると述べられていました。
      
3.午後の部(特別セッション:熊本地震関連調査団報告1~6) (参加者:58名)
 午後の部は、去る5月28日から6月1日に実施された熊本地震関連調査団(団長は遠田副支部長)による報告が行われました。副団長を務めた村上幹事をはじめ、調査団に参加した若手技術者の皆さんによる報告会です。
 それぞれの団員が、担当箇所・項目に分かれ発表を行いました。震災から1年を経過した現場であるにもかかわらず、まだまだ地震や地震断層の傷跡が生々しく残るなか復興も徐々には進行している様子でした。そして、復興事業が本格化する現地では、工事による切土法面の新たな露頭の出現など、この時期ならではの情報が得られたようです。さらに、村上副団長のドローン撮影による3Dモデルの紹介は今後の地質調査(特に災害現場)などでは活躍が期待されます。
 今後は、これらの発表内容についてブラッシュアップしていき、本年度の研究発表会(全国大会、岡山)での発表を行う予定でとのことです。
4.意見交換会 (参加者:34名)
  研究発表会終了後は場所を移動し、スマイルホテル内のシュルブール仙台店にて意見交換会を行いました。熊本関連災害調査団の皆さんも出席し、調査期間中の苦労話や感想、そして今後の抱負などを語っていただきました。締めは、村上幹事による「伊達の一本締め」で会を締めました。
  
  乾  杯                 調査団参加者の挨拶

 

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