日本応用地質学会東北支部 JSEG TOHOKU
 

令和6年度 日本応用地質学会東北支部
第30回研究発表会 当日の様子
 一般社団法人 日本応用地質学会東北支部
令和6年7月18日(木) 10:00~

  去る7月18日(木)に第30回支部研究発表会が無事終了いたしました。昨年は秋田での全国大会(研究発表会)のため実施しなかっため2年ぶりの開催でした。本研究発表会もオンラインとのハイブリッド形式で実施いたしました。
 参加者は、会場:49名、WEB:26名で合計75名と多くの参加をいただきました。
 以下では、当日の様子を簡単に紹介したいと思います。
 
  
1.午前の部 (座長:新山幹事、副座長:窪島幹事) 10:00~11:50
 午前の部は、6編の発表がありました。発表内容については自由テーマで、大学で研究したテーマや事例紹介など多岐にわたる内容でした。
 土砂災害が起こりやすい地域特性を簡易的に把握すること目的とした花崗岩地域を例とした風化度と河川水の化学組成に関する研究、トンネル調査にかかる重金属の溶出試験に関する実施事例、イベント堆積物の分析から象潟地震の津波を考察する研究、斜長石分析に注目した十和田火山噴火の火砕流に関する研究、地層処分に関連した岩盤内のマイクロクラックの重要性についての発表などがありました。
 象潟地震の研究発表は、象潟方面を見学地とする本年度の支部現地研修会に関連しており、良い予習になったかと思います。
 
2.特別講演 13:00~14:30
 「地域地質学と応用地質学の視点からみた令和6年能登半島地震の地質災害 」というタイトルで、塚脇 真二 氏 (金沢大学環日本海域環境研究センター・陸域環境領域 教授)にご講演をいただきました。主な内容は、能登地方から加賀地方に至る石川県全体の地質と能登半島地震による被災状況を多くの写真を用いて紹介するものが中心でした。海外出張が多かった塚脇氏が、コロナ渦により渡航できなくなった際に石川県内で地質踏査を実施し、県内の地質を確認するとともに多くの露頭や地形の写真を撮影していました。そして、能登半島地震後に再び現地を訪れ同じ場所で写真を撮影したとのことです。これら2時期の写真を比較させた発表は災害の規模などの状況がよくわかり、地形や地質との関連性についても考察できる非常に貴重な資料であると思います。そういったことからも、今後何らかの形で報告していただければと思います。また、踏査結果の結果についてはとりまとめが進んでおり、年度内中に金沢大学の紀要で地質図が発行予定とのことです。
 
ご講演をされる塚脇氏(右上)
塚脇氏を紹介する村上代表幹事(右下)
 
3.午後の部 (座長:鳥越幹事、副座長:丹野幹事) 14:40~16:00
 午後の部は、特別講演に連動した「能登半島地震」に関する発表が主となりました。能登半島での群発地震活動から本震や余震などの地震ハザードの傾向についての考察、地震による液状化・側方流動に関して地表分布と古地図や空中写真との比較を行い地形との関連性についての研究、能登半島地震による道路災害の現地調査の報告とそれに対する考察、隆起海岸沿いの斜面崩壊の実際についての発表でした。
 最後の発表は、本年11月中旬に計画されている「ジオさんぽ」についての紹介でした。東北支部では令和元年以来となる同企画ですが、本年度は多賀城創建1,300年の記念に合わせ、多賀城周辺で実施することになりました。多賀城周辺の基盤岩、石材などを見学予定です。詳細が決まり次第改めて告知いたします。ぜひご参加ください。
 
  すべての発表の後には総合討論が行われました(座長:杉山幹事、副座長:橋本幹事)。時間が少なかったものの、当日の発表に関する質問や意見が交わされました。最後は菖蒲副支部長の挨拶で閉会となりました。
 
意見交換会 17:30~19:30 
 研究発表会終了後には、場所を移して意見交換会を行いました(参加者:31名)。発表者も多く参加されたこともあり、発表の場では掘り下げられなかった議論の続きや、業務の情報交換、個々の近況報告など楽しくも貴重な時間を過ごされたかと思います。
 
 

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