日本応用地質学会東北支部 JSEG TOHOKU
 

 令和元年5月17日(金)
令和元年度 日本応用地質学会東北支部
総会・特別講演  当日の様子
 元号が平成から令和に変わり、新たな時代の幕が開けました。一般社団法人応用地質学会東北支部も5月17日(金)に令和元年度総会・特別講演会・討論会を開催し、新たなスタートを切りました。総会では、本年度の予算・活動計画、および役員人事が承認されました。

 せんだいメディアテーク7F スタジオシアターにてPM1:30から定刻通り開会いたしました。
当日の簡単レポート以下にまとめました。
   
1.総会
 総会は出席数(参加人数:38名、有効委任状[個人]:61名;有効委任状[賛助会員]:14社)となり、「日本応用地質学会東北支部規定」第15条の正会員(支部会員数名169名(賛助会員37社)[平成31年4月末日現在])の5分の1以上の出席となり、本総会は成立いたしました。

 議事次第に従い、平成30年度活動報告ならびに会計報告、令和元年度活動計画および予算案、および本年度の支部役員人事案(人事異動等による交代)が可決されました。
 本年度は、6月には昨年荒天のため中止となった現地研修会を昨年予定していたコースで実施します。7月には研究発表会の開催を予定しています。また、10~11月には、昨年に引き続き「ジオさんぽ仙台」を予定しています。開催行事以外では、研究ワーキンググループとして、地震防災ワーキングなどをはじめとしたWG活動を予定しています。
 
        遠田支部長による議事進行     杉山会計担当幹事(左)と三和代表幹事(右)
2.特別講演 (参加者:62名)
 特別講演は国土地理院東北測量部から和田弘人氏をお招きし「地理空間情報と災害対応」というタイトルでご講演していただきました。
 講演内容は、前半では、東北地方測量部の役割そして地理空間情報・基盤図情報の最近の動向や、現在の活用のされ方などについて解説していただきました。後半では本題である災害対応での活用実態や今後なすべきこと、そして災害に備えるための地理教育重要性について述べられました。

 現在の地理空間情報・三次元位置情報については、「みちびき」(準天頂衛星システムQZSS)等によりセンチメータ級の測位補強サービスが受けられる時代となっている事実の説明をされました。しかし、それだけでは役に立たずそれをいかに料理し活用していくかが重要であるとのことでした(位置情報は位置情報でしかなく、“地図”等は別の技術)。
 後半では、地理院としての最近の災害対応や、自治体での活用事例などを具体的に説明していただきました。災害対応事例では、いまだに紙ベースで情報収集している例を挙げられ、理想と現実のようなギャップがあるのではないかと思われます。ただし、情報が集まるにつれて、それを集約・共有化・可視化できる“システム”に注目が集まるようです。空間地理情報の集約については、精密な情報が集まるメリットがある反面、受け取る側が確実な情報を求めがちになってしまうということを述べられていましたが、確かにわかる気がします。そもそも危機管理とは人がかかわる不確かな情報を扱うものであるため、正確ではあるが膨大な情報が集まってくる地理空間情報の運用方法については今後考えていかなければならないようです。
 最後には、国土地理院が現在進めている活動について説明していただきました。自然災害伝承碑(水害碑、災害伝承碑など)を防災地理情報としてまとめ、地域での防災力の向上や防災教育の充実を支援していること、また子供の読図力向上を目的に地理にかかわる教員を支援をする活動などを紹介されていました。

3.討論会 (参加者:60名)
 特別講演の後には討論会として、「事例にみる地理空間情報の利活用方法」ということで、3つの事例紹介と、最後に東北支部で実施している地震防災ワーキングの紹介をしました。その後、少ない時間でしたが、討論会を行いました。
 1つ目の事例は、遠田支部長から「GISを用いた2016年熊本地震の地表地震断層と活断層線の一致度の検討(今野明咲香・遠田晋次)」というタイトルで、活断層詳細デジタルマップと地表に表れた地表地震断層との離隔距離を定量的に検討した事例を紹介しました。
 2つ目の事例は、高見顧問から「2016年熊本地震時の阿蘇谷の地表変状に関する二時期航空レーザ解析」というタイトルで、震災前と後の2時期のレーザー測量データを比較・解析することにより、地表地震断層の延長部の地表の変位について非常に興味深い結果が得られることについて紹介していただきました。こういった検討を可能にするためにも、全国で共通した基盤図の整備(back ground)の重要性について述べていました。
 3つ目の事例は、復建技術コンサルタントの山口さん(発表は村上幹事)から「地形・地理情報から見た地震による宅被害の要因」というタイトルで、地震での宅地被害の例として①仙台市(盛土、切盛境)②益城町(火山の2次堆積物)③札幌市(谷埋め盛土)の3つの事例を紹介しました。
  
話題提供する高見顧問(左)と村上幹事(右)
 最後には、村上幹事から「長町利府断層帯ワーキングの趣旨説明」について紹介しました。ワーキンググループの内容、現在までに分かっていること、そして「活断層ストリップマップ」の作成を最終目標とする趣旨説明をし、参加してもらえるメンバーの募集を行いました。
 
討論会の司会をする小林幹事(右)と大友幹事(左)
4.意見交換会
 総会・特別講演終了後は、場所をスマイルホテル内のシュルブール仙台店に移動し意見交換会を行いました(参加者33名)。特別講演をしていただいた和田さんにもご参加いただきました。また、この本総会で承認された新たな役員の挨拶などがありました。終始和やかな雰囲気で参加者同士で交流を深めていました。最後には村上幹事による「伊達の一本締め」で会を締めました。
  
今年度から加わった新役員のご挨拶(左)、新田新副支部長による乾杯(右)

 

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