平成 28 年 5 月の支部総会において、小嶋前支部長の後任として支部長に選出されました、名古屋大学博物館の吉田です。精力的に活動を進められてきた小嶋前支部長をはじめ、歴代の支部長のようにはいかないかもしれませんが、応用地質学会中部支部の発展に少しでもお役に立てるように頑張りたいと思います。

応用地質は、名の通り地質学の応用分野です。この応用という意味は、地質学を基本に、人間活動に影響を及ぼす様々な地質学的現象に対して安全、防災、減災といった形で社会に役立たせることだと私は理解しています。そのためには、基礎的な地質学の知識や考え方を基に、地球表層での地質学的、地球科学的現象やそのプロセスを理解し、原因を明らかにすることが求められます。しかし、一言で「理解し、明らかにすることが大事」と述べましたが、地球表層での現象は非常に複雑で、物理や化学、生物などにも関わる様々な要素が絡み合った状態で生じます。その絡み合った状態を解きほぐすことは容易ではありません。地質学の基本的な知識のみならず、多岐の分野にまたがる現場で培った経験に基づいて丁寧に紐解き、現象の説明のみならず、安全性や防災に対する対策を社会に対して的確に提示していかなければなりません。このマルチディスプレナリー(multidisciplinary)こそが応用地質（学）の特徴だと言えます。

中部支部は、100 数十名からなるその技術者／研究者の集団です。中部地方のみならず日本全国での様々な災害や環境問題等に関わりつつ、社会の一翼を担っています。私もその一員として、活動と会員のスキルの向上に微力ながら務めていきたいと思います。

皆様のお力添えをどうか宜しくお願いいたします。