平成27年度 支部総会および特別講演・討論会
当日の様子(レポート)

平成27年5月15日(金)

一般社団法人 日本応用地質学会 東北支部

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 日本応用地質学会東北支部の平成27年度総会・特別講演会が無事終了いたしました。
本年度の活動計画等が承認され、新たな年度のスタートを切ることができました。
 せんだいメディアテーク7F スタジオシアターにてPM1:30から定刻通り開始されました。
以下は当日の簡単なレポートです。

 
  高見支部長の挨拶

1.総会(PM1:00〜2:00

 総会は出席数(参加人数:48名、委任状:69名)となり、「日本応用地質学会東北支部規定」第15条の正会員(支部会員数173名[平成27年3月末日現在])の5分の1以上の出席となり、本総会は成立いたしました。

 議事次第に従い、平成26年度活動報告ならびに会計報告、平成27年度活動計画および予算案が可決されました。本年度は、レギュラー行事に加え応用地形学実習の開催や昨年から引き続き地震防災ワーキング活動など活発に活動する予定となっております。


2.特別講演(PM2:15〜3:45)

「活性化する蔵王火山:過去の噴火履歴を中心に」
 伴 雅雄 氏 (山形大学理学部地球環境学科 教授)



 蔵王の御釜付近を震源とする火山性地震の活発化により、立入規制が行われている蔵王火山についての講演を山形大学の伴先生にご講演頂きました。現在身近な問題となっている蔵王火山の噴火履歴等についての話題を提供していただきました。そのためか、特別講演の参加者も70人と非常に盛況であったと思われます。
 蔵王火山の歴史については、100万年前ぐらいからの歴史が分かっており、その間大きく3期に分けられるとのことです。ただし、蔵王火山といっても噴出位置を変えながらある程度の範囲を持って活動が続いているとのことです。現在の御釜は約800年前の水蒸気爆発により形成されたもので、それ以降は100年に1度程度の頻度で噴火しているとのことでした。ただし、1回の噴火で数十年続くらしいとのことです。
 やはり、東日本大震災との関連(過去の大地震後数年以内には比較的高確率で火山の噴火があるといわれている)が気になるところですが、上記のように比較的活発に活動を続けている火山なのでその関連性については言及しませんでした。ただし、3.11以降の東西方向の圧縮が解放されたことによりマグマ活動が活発化しているという考えは一般的にあるようです。
 後半は、現在の蔵王火山の噴火予測や、警戒情報のあり方などについてお話しされました。噴火予測については、現在の御釜の形成された以降の800年間の火山活動履歴から今後の噴火予測を検討しているとのことでした。また、現在発令されている火山周辺警報の範囲については、御釜およびその周辺での想定火口から噴石の到達する範囲として1.2kmの範囲を警戒することになっているようです。
 東北地方では本当に身近な火山(または観光地)としての蔵王火山ですが、いざ今回のように火山活動が活発になってみると知らないことが多いことに気づきます。また、噴火予報やそれらに関する資料についてはあまり目にすることが少ないので、これからはより自身のことであるとしてとらえる必要があるのかもしれません。
 今回の講演では、蔵王火山に関する基礎的な知識および火山災害に関して改めて考える良い機会になったのではないかと思います。

3.討論会(PM3:45〜4:45


 特別講演会の後は、火山や地震等に関する討論会を行いました。まずはじめに支部役員の水野氏から蔵王山麓での地下水調査の事例紹介を、そして副支部長の遠田氏に2014年11月22日に発生した長野県北部地震の震源断層についてご紹介いただきました。
 水野氏(写真左)からは、水文調査の流れなど基本的なことから蔵王山麓での具体的な調査方法や結果などを紹介していただきました。会場からは、蒸発散量の見積り方法、代替え水源、重金属等についての質問などがありました。 
 遠田氏(写真下)からは、長野北部地震の震源断層について現地踏査を実施した結果をご報告していただきました。精密な調査(地形解析など)で予測が可能な断層もあるが、一部では地形に出ていない断層が顕在化するなど難しい側面もあることを紹介していました。

 ご紹介いただいた2つの事例では、非常に内容濃いものであったため、予定していた時間が少なく実際に討論する時間があまりなかったのが残念ではありましたが、非常に充実した1時間だったのではないかと思います。





4.懇親会(PM5:15〜 )


 特別講演・討論会の後には、場所をかえて懇親会を行いました。参加者は31名と盛況でした。
 懇親会では、時間が十分ではなかった討論会の続きや、各会員相互の意見交換が行われました。本年度入社の新入社員も見られるなど、各社の情報交換やそれぞれの交流を深めることができたのではないかと思います。 懇親会の最後は、恒例の伊達の1本締めで会を締めました。
 今年度の特別講演は非常にホットな話題ということもあり、非常に多く会員の皆様のご参加をいただきました。ありがとうございました。本年度もよろしくお願いいたします。

 


       以 上