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 地震防災WG 松島ボーリングコア・露頭観察会 (第6回 8月1日開催)
 

 香川大学の長谷川教授が提唱している「松島巨大地すべり起源説」の検証ボーリングが宮戸島の縄文村歴史資料館の敷地内で実施されました。

 長谷川先生のご厚意により、ボーリングコアを観察する機会を得ましたので、宮戸島及び周辺の松島層の露頭観察会もあわせて実施しました。


  ○日時:平成27年8月1日(土) 

  ○場所:松島縄文村~松島外湾、野蒜~東名付近の露頭

  ○参加者:高見、橋本、谷藤、島本、村上

1.ボーリングコア観察会
 ボーリングは深度70mまで実施され、大きく区分すれば、深度8m程度までが盛土および礫混じりの未固結の海成堆積物であり、それ以深は深度70mまで塊状で亀裂の少ない軽石質凝灰岩でした。1/5万地質図幅「松島」による松島層Mt5に対応できる地層です。

 長谷川先生は、ボーリングコアで色測定、帯磁率測定、エコーチップ測定を実施しておりました。

 深度45m付近にほぼ水平な層理を有する砂岩層を挟んでいるものの、地層境界付近にも乱れや開口亀裂も認められず、現段階では巨大な地すべりを示唆する岩盤の緩み等は確認されていません。

 また、当日は宮戸島南方海域の既存地質データの関連性についても議論されました。
2.露頭観察会
 ボーリングコアと周辺露頭の状況を対比するために、宮戸島を中心に露頭観察を実施しました。
 ボーリング箇所周辺にはMt5に相当する凝灰岩が亀裂の少ない状態で確認され、ボーリングコアから推定される安定的な岩盤状況と整合的でした。Mt5層は最大層厚100m程度と見積もられていますので本ボーリングではその基底部付近まで到達していると考えられます。

 次に室浜漁港付近の露頭では東に緩く傾斜するシルト岩を確認しました。図幅では松島層Mt5の下位、Mt4に相当する地層です。互層状に含まれる砂岩の薄層にはサンドパイプが確認でき浅海性の堆積物であることを示唆しています。

 北部の松島丘陵ではMt5層を『野蒜石』として採取した跡が多数存在します。、新東名駅に向かう道路脇の露頭では、Mt5層中の開口亀裂を同質の地層が充填し、完全に癒着・固着した砕屑岩脈が確認されました。

室浜漁港の露頭
 
Mt4層中のサンドパイプ
(写真をクリックすると拡大します)
 
東名駅付近のMt5層露頭
(写真をクリックすると拡大します)
 
3.今後の活動
 今回の観察会で、松島層の層序や堆積構造について理解を深めることができました。

 今後、松島全体の露頭から地質構造についての知見をまとめていきたいと思っています。

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