【結果報告 その4.最終回】 令和2年度(2020)応用地質学講座(阿寺断層巡検)

令和2年の応用地質学講座は,阿寺断層の巡検を行いました。
当日の様子(その4.最終回)をお知らせいたします。
(その1)(その2)(その3)はそれぞれをクリックしてください.「その3」に引き続き,断層露頭のご紹介と断層地形のご紹介をします.
まずは断層露頭の写真です.この場所は諸事情によりHPでは場所の公開を控えさせて頂きます.
この断層露頭では,白い部分(花崗岩)と茶色い部分(礫層)が直線状の境界で接しています.
花崗岩はマグマが地下数kmで冷えて固まった石,礫層は地上で堆積したものですので,これらが隣同士になるためには,何らかのイベントが必要になりますよね.

さて,巡検の最後に見た断層地形が下の写真です.
写真中央やや下に立っている人の左右で,地面の高さが違いますね.
(露頭場所の緯度経度:北緯35°34′19.4″、 東経137°32′10.9″)
この段差は,断層によって形成されたものです.
今回の巡検報告で紹介した「その2」と同じ類のものです.

この高さの違いだけで断層と断言するのは難しいと思います.
近くに川も流れていますので段丘地形かもしれません.
ということで周辺の地形図(基盤地図情報のデータからQGISを使って作成)を掲載します.
赤い矢印のあたりが,上の写真で人が立っている場所ですが,
等高線が密になっているなどの地形的特徴はありません.

これでは断層かどうか分かりませんので,4つの広域の地形図を見てみます.
(基盤地図情報のデータからQGISを使って作成)

1.広域の地形図
2.広域の地形図に断層線を入れたもの
3.CS立体図
4.CS立体図の鳥瞰図

いずれの図もの赤点線の範囲が,上図の範囲となります.
それぞれの地形図を見比べてみて断層地形をご覧ください.
どの図もクリックすれば拡大します.

広域の地形図を見ると,断層崖などの断層の特徴を表す地形が見えてきますね.
ここでも,やはり断層調査には地形の情報が欠かせないということが分かります.

他にも安江先生に様々なご説明をいただきましたが,HPでの紹介はこれで終了とさせていただきます.
実際の巡検では,HPでお伝えできなかったことも多々有り,HPを作成しながら「百聞は一見にしかず」だなぁ,と思いました.
(HP作成者が説明下手なのはご容赦ください.)

今後も,みなさんに興味を持って参加していただけるような行事を企画していきますので,
引き続き,どうぞよろしくお願いいたします.

...巡検当日,安江先生から「地震が起きたときに池ができたという言い伝えもある」というお話しを聞きました.
それで思い出したことがありますので,またHPで紹介させていただきます.