平成26年度 第22回研究発表会
当日の様子
平成26年7月18日(金)

一般社団法人 日本応用地質学会 東北支部

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 日本応用地質学会東北支部の平成26年度 第22回研究発表会が無事終了いたしました。

 若手枠1つを含む8編の発表と塚本氏による特別講演、及び紺野氏による話題提供が行われました。

 やや肌寒さを感じつ梅雨空の中、様々な内容の発表や議論などが展開し、
会場内は熱く盛り上がりました。47名の人にご参加いただき、盛況のうちに終了することができました。
 以下では、当日の様子を簡単にまとめましたので、

 当日のプログラムはこちらから


 研究発表会開会にあたり、挨拶をする高見支部長

 1.研究発表(午前の部、午後の部) 

 研究発表は若手枠&シニア枠を設け、本年度は1件の若手枠の応募がありました。若手枠は、卒論や修論等でもOKの間口の広い募集枠ですので、発表内容も多岐にわたり、若手の発表のトレーニングの場ともなるので、今後とも継続して募集していきたいと思います。

 発表についてですが、前述のように若手枠が1編、特別講演にちなんだ地下水に関する発表が3編、そして、断層の活動性の評価、昆虫のDNA配列に関する研究、簡易的除染に関する研究など様々な発表がありました。

 さらに、東北支部の活動として現在進行中の地震防災WGに関する紹介を担当幹事から紹介しました。「松島湾の地形・地質発達史」と称し、地質フィールドとしての松島の価値や今後の方向性などを紹介しました。今後、支部のWEBページでその進捗状況など紹介していけたらと思います。
  2.特別講演(PM1:30〜3:00)
    「福島県浜通り地域の水文地質構造と地下水流動」
       塚本 斉 氏 
     ((独)産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門 長期地質変動研究グループ長)

 特別講演は、福島県浜通りの地下水に関するテーマでご講演頂きました。最近話題となっている福島第一原子力発電所における汚染水問題ですが、それを考えるうえでもっとも重要な福島県浜通り(相馬〜いわき)の水理地質構造を改めて勉強する良い機会となりました。

 浜通り周辺の地質構造に起因する地下水の分布やその水文構造などバックグラウンドについての説明をされ、相双地区の地形的特徴や地下水の特徴を知ることができました。

 浜通りの全体の水文構造をご説明された後、福島第一原子力発電所付近の水文地質構造と地下水の流動についてご講演されました。発電所建屋付近の地質構造やその特徴、そして地下水の挙動についてご説明され、問題となっている地下水の供給源が、はるか遠くの阿武隈山地ではなく、発電所敷地内〜その周辺に限られるとのことでした。このように、水文地質構造を把握することに良り、的確な対策範囲を設定することが可能となったということだそうです。

 一般に難しいと考えられる地下水の挙動は、地質構造に規制されることが多く、それらを解明することにより地下水の問題が解決する事例を知ることができ、改めて地質状況の把握の重要性を認識することができました。非常にセンシティブな問題、且つ、ホットな話題を聞くことができ非常に有意義な時間を過ごすことができました。
  3.話題提供 (PM3:10〜3:40)
   「宮城県南部から福島県北部沿岸の水理地質と地下水賦存状況」
      紺野 道昭 氏 (東北農政局 農村計画部資源課地質官)
 福島県浜通り地下水に関する特別講演に関連して、紺野氏から福島県浜通りからその北部宮城県南部地域付近(亘理〜相馬付近)の水理地質と地下水賦存状況について話題提供をして頂きました。

 農業用水として利用されている地下水に関する話題提供であり、地下水の種類(浅層地下水、深層地下水)やその特徴、そして地質構造との関連などをご説明いただきました。

 また後半では、津波災害による地下水の塩水化の問題に関する内容で、地下水のモニタリング結果等から地下水の塩水化が長期化についての話題をご説明されました。ただし、はっきりとしたデータとして表れていないため今後も観測を継続するとのことです。
  3.懇親会 (PM5:00〜)

 討論会終了後には、スマイルホテル内のシェルブール仙台店に場所を移し、懇親会を行いました。懇親会の出席者は25名と、多くの参加をいただきました。

 特別講演をしていただいた塚本氏も参加されたので、講演時に聞けなかった質問やそのほかの研究に関することなどを聞く良い機会となりました。その他、研究発表の内容についての議論も行いながら、楽しいひと時を過ごすことができました。