平成28年熊本・大分地震災害調査報告会 質問と回答

2017年4月29日に開催いたしました熊本・大分地震報告会では多くのご参加、ご質問をいただきました。改めてお礼申し上げま す。このページでは当日対応できなかった、または不十分であった44名の方の質問に対して回答いたします。なお、お名前をいただいた ご質 問もございましたが、こちらの判断で質問者のお名前は伏せさせていただいております。あらかじめ、ご了承ください。


Q1 : ・このような大きな地震は、もう起きることはないのですか? 益城町に実家がありますが安全ですか?

(年齢:30代, 性別:女, 住所:福岡県, 職業:主婦, 質問項目:1.地震 3.住宅・宅地)

A1 : 熊本地震後に京都大学が行ったトレンチ調査の結果では、布田川断層の前回の活 動は1,400年前から2,400年前だったとされていますので、今回ずれが生じた区間 が再び動くまでには、長い時間がかかると考えられます。そうすると、子や孫の 代に、同じところが再び動く可能性は低いと思われます。 しかし、今回ずれなかった区間が新たに活動する可能性は残っていますので、熊 本市や益城町が震度5や6、あるいは場合によっては震度7の揺れに襲われない とは言い切れないと思います。また、余震が数年間続いたケースもありますので、 地震に対する備えは必要と思われます。(回答者:花村 坂本)


Q2 : ストリップマップの防災への利活用について、どの程度有効 だったと予想・期待されますか?
ストリップマップで、ノンテクトニックな変位は除外されて いますが、逆にノンテクトニックな変位に対する防災はどの ように考えたらよいですか?
規模は小さいかもしれませんが、被害は引き起こしうると 思われるので。

(年齢:40代, 性別:男, 住所:記載なし, 職業:勤務者, 質問項目:1.地震 6.地表地震断層)

Q3 : ・地震の被害の多かった(起こる)のは、断層からどのくらい の幅(範囲)と考えたらよいですか?
(年齢:50代, 性別:男, 住所:御船町, 職業:勤務者, 質問項目:6.地表地震断層)

A2, 3 : 布田川断層については、地震前から都市圏活断層図で分布位置が公表されていまし たが、範囲は西原村中心地付近から以西に限られていました。また断層は1条の線 で描かれていました。 地震後に作成した今回のストリップマップでは、断層は雁行状に分布し、その幅は 概ね100m程度となることを示しており、都市圏活断層図に記載された断層線から離 れているから安心というわけではないと思われます。 過去の事例では、断層線から300m以上離れていても、地震断層が発生したことがあ り、「安全側に立つと500m程度の幅の中では地震断層の影響を受ける」という意識 付けができるのではないかと考えています。
ノンテクトニック断層とは、地表面に変位を生じている亀裂のうち、震源断層の変 位を反映した地表地震断層とは無関係な亀裂の事です。 この亀裂は、地盤や地形の状態によって様々な形態として発生し、かつ地震断層の 亀裂よりもはるかに多くの亀裂を生じるため、ストリップマップで表現するのは 困難です。とはいえ、傾斜地を切り盛りして造成した宅地や、急傾斜地の上方の 平地ではノンテクトニック断層による被害が大きくなる傾向がある事から、このよう な条件を考慮した宅地開発や建築が望まれます。(回答者:矢野(健))


Q4 : 熊本の地質は一般的に地震に強いor 弱いですか?

(年齢:40代, 性別:男, 住所:福岡県, 職業:勤務者, 質問項目:1.地震)

A4 : 一般的に地震に強い地質は「岩盤などの硬い地層」、地震に弱い地質は「粘土や砂、 盛り土などの軟らかい地層」といえます。熊本の地質はそのどちらも分布しており、 地震に強い、または弱い地盤とは一概に言いきれません。 熊本県では、熊本平野には「有明粘土」と呼ばれる非常に軟らかい粘土が厚く堆積 しており、これは地震に弱い地盤です。また、阿蘇火山から噴出した火山灰などが 風化した「灰土」と呼ばれる軟らかい粘土層が、阿蘇を中心として県内に広く分布し ていますが、これも地震に強い地盤とは言えません。 近年、地震に弱い地盤として注目されているのは「盛土」です。造成する際には 避けては通れない盛土ですが、地盤としての締まりが相対的に悪く、熊本地震でも 多くの被害が発生しました。 また、地盤としてはしっかりしていても、熊本地震を引き起こした日奈久断層、 布田川断層沿いでは、非常に強い地震動が作用したため、たとえ硬い地盤(岩盤) であっても崩壊しています。 活断層は、おおむね同じ場所で何度も地震が発生しますので、活断層沿いでは特に 注意が必要と思われます。活断層については、本学会の「2016年熊本・大分地震 災害調査団報告書」でもマップを作成しておりますので、参考としてください。(回答者:梅?)


Q5 : 今後、熊本もしくは近辺で、今回のような地震が近いうちに 発生すると思いますか?
(年齢:40代, 性別:女, 住所:熊本市 南区, 職業:勤務者, 質問項目:1.地震)

A5 : 熊本県には、今回活動した布田川断層や日奈久断層以外にも複数の活断層が知られ ています。そのため、今後も同様の直下型地震がいつ発生してもおかしくない状況 にあるといえます。 地震の発生時期に関する研究は、応用地質学会の専門ではありませんが、現在の科 学技術では地震予知まで進んでいないのが現状です。従って、10年後かもしれない し、100年後かもしれませんので、いつ地震が発生しても良いように日頃から備えて おくことが大事です。(回答者:矢田)

Q6 : 今回、立田山断層は大津以東で活動していると思うのですが、 近年中に隣接する菊陽町及び以西において、地震の可能性が 高まっているのですか?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:菊陽町, 職業:勤務者, 質問項目:1.地震)

A6 : 立田山断層は熊本市北部に分布し、1889年の明治熊本地震の震源といわれる断層 ですが、現在確認されている範囲は、西部の城山付近から花岡山西麓、熊本城を 通り、北部の立田山西麓までとなっており、大津町までは達しておりません。 熊本地震の余震分布では、立田山断層はその北限付近に位置していますが、立田山 断層の周辺に断層の動きによると思われる亀裂等は報告されていないことから、立 田山断層自体が動いた可能性は低いと言えます。 また、この断層が近年中に動く(地震が起きる)可能性については申し上げられま せんが、熊本地域では今回の地震の余震がしばらく継続する可能性は十分にあると 考えられます。(回答者:矢野(健))


Q7 : 類似した過去地震(1889〜1900年前後の活動)を紹介して 下さい。
(年齢:50代, 性別:男, 住所:熊本市 西区, 職業:勤務者, 質問項目:1.地震)

A7 : 1889年の明治熊本地震(M6.3、最大震度不明)では、全壊239棟、死者20人で被害 の大半が熊本市周辺で発生したようです。この時の地震でも、余震が多く発生し、 その中にはやや大きな余震もあったようです。 この時は、7月28日に最大の地震があり、8月3日にそれよりやや小さい程度の大きさ の余震があったようです。詳細については、「熊本市都市政策研究所 熊本明治地震 震災日記(現代語訳)」に記載されており、この本は、熊本市役所地下売店で販売 されています(6月9日段階ではまだ在庫はあります)。 また、明治熊本地震から5年後の1894年に阿蘇中央火口丘の西麓で、1895年に阿蘇 郡山西村(現西原村)付近でM6.3〜6.8の地震が発生しています。 さらに、1898年にも阿蘇中央火口丘の西麓でM6.7程度の地震があったという記録や、 1900年頃にはM3〜M6程度の地震が頻発していたとする資料が残されています (九州の災害履歴情報HP:http://saigairireki.qscpua2.com/参照)。
 この時期は、1891年の濃尾地震(M8.0:国内内陸地震で最大)や1896年の明治三陸 地震など日本各地で大地震が観測されており、大地震が頻発した時期と思われます。(回答者:坂本)

Q8 : 今回の地震は想定内だと思います。2013年には熊本大学から 知事あてに地震被害の答申がありました。その効果が議論 されないのはなぜでしょうか?
 南海トラフ地震の対策と災害ポテンシャルをどのように 考えるべきでしょうか?
斜面災害における土砂流動で崩壊した家屋数は、明らかに なっていますか?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:熊本市 中央区, 職業:勤務者, 質問項目:1.地震)

A8 : 平成25年3月熊本県地域防災計画検討委員会(会長:松田泰治(熊本大学))の 「地震・津波被害想定調査結果について(地震・津波被害想定検討部会長: 山田文彦(熊本大学)」の議事(熊本県web公開資料)を当該の答申とみなして 回答いたします。 地震・津波被害について建物・人的・ライフライン・交通輸送施設・生活支障 等・災害廃棄物・その他についての想定がなされています。 いくつかの項目について、津波被害を除く想定被害(布田川・日奈久断層帯 (中部・南西部連動)に関連するもの)と平成28年地震被害(被災数値は[ ] 内で、平成29年度熊本県地域防災計画(地震・津波災害対策編)、熊本県web 資料より引用)を比較してみます。 建物(一般建物)全壊棟数:15,600棟[8,400棟]、半壊棟数:43,300棟 [32,800棟]、死傷者:28,200人[2,855人]、避難者数:230,000人[183,000人]で、 ご指摘のように想定内とも言えるようです。 想定地震M7.9に対して、M7.3(想定の約1/7の規模)での被災であったことや判明 した自然現象・社会事象を検証し、防災にフィードバックされることが望まれます。当学会でも、積極的に発信していきたいと思います。
南海トラフ地震については、熊本県では、地震動と津波被害が想定されています。 内陸直下型地震ではなく、緊急地震速報等による直前対応の可能性もあり、日常 の備蓄や家具の固定等の災害に対する自助と地域での共助、そして自治体による 公助の連携を密にし、準備しておくことが望まれるのではないでしょうか。 また、九州太平洋岸の大分県・宮崎県・鹿児島県では甚大な被害が想定され、熊 本県・福岡県・佐賀県・長崎県が広域支援を担う必要があります。最前線の熊本 県では、地元被災者の支援と広域支援の二重の対応を想定し、防災拠点施設や要 員・他都道府県からの支援に対する受援力を高めておくことが望まれるのではな いでしょうか。
内閣府非常災害対策本部公表資料(H29.4.13付web資料)によると土石流57件、地 すべり10件、がけ崩れ123件ですが、地震による斜面崩壊での土砂流動による家屋 数については、統計資料としてはまとめられていないようです。 国土交通省砂防部の緊急事業実施状況や熊本県砂防部の熊本地震による土砂災害 発生個所の梅雨前の現場点検結果のweb公表資料を参照すると、該当事象は地すべ りが発生した高野台地区のAブロック(全壊6、死者5名)、Bブロック(全壊5)、火 の鳥地区(全壊2、半壊2、死者2名)が確認されますが、他に流動化した崩壊土 砂による被害の記載は確認できませんでした。(回答者:山田)


Q9 : 地震は地盤の歪エネルギーが溜めこまれて、それが解放され て起こると思っているのですが、今回のような地震が発生 する周期はどれくらいになると思われますか?
(年齢:50代, 性別:男, 住所:福岡県, 職業:勤務者, 質問項目:1.地震)

A9 : 布田川断層帯を震源とする地震の発生周期には、諸説ありますが、政府の地震 調査研究推進本部によると8,100〜26,000年程度、産業技術総合研究所によると 約3,100年周期とされていました。 一方、熊本地震後に京都大学が行ったトレンチ調査の結果によると、M7.3の震源 となった布田川断層の活動が約7,000年間に3回発生し、前回の活動は1,400年前 から2,400年前で、それ以前にも7,000年前までに2度起きていることが指摘され ています。(回答者:矢田)

Q10 : 布田川断層は、立野より東の阿蘇谷から大分県へとつな がっているのでしょうか?
水平加速度と災害(斜面崩壊や橋の変位など)はどのよう な関係にあるのでしょうか? ・報告書のCDは配布しないのですか?
(年齢:50代, 性別:男, 住所:熊本市 東区, 職業:勤務者, 質問項目:2.崖崩れ 6.地表地震断層)

A10 : 布田川断層は、立野火口瀬〜宇土半島先端に至る断層とされていましたが、今回 の地震では火口瀬の東側まで地表断層が確認されました。布田川断層の延長か 否かは確認されていませんが、今回は阿蘇谷付近まで亀裂などの地表変位も確認 されました。また、震源分布を見ても大分県の方へと続いている可能性はあります が、その根拠を示すことは出来ません。 ・同じ条件(地形・地質・斜面や構造物の向き・構造物の固有周期等)であれば、水平加速度が大きいほど 崩壊や変位の規模は大きくなる傾向はあります。但し、揺れの大きさ(震度)は、以前は体感で表されていましたが、現在は計測震度と呼ばれる、加速度の大き さの他に地震波の周期や継続時間等が考慮されて計算されます。 また、建物や橋などが持つそれぞれの固有周期と地震波の周期が重なると大きな被害が発生します。したがって、水平加速度が大きくなると震度(揺れ)や被害 が大きくなる傾向はありますが、必ずしも最大加速度を記録した箇所で震度や被害が最大になるとは限りません。
現在のところ、CDにする予定はありません。(回答者:小泉)

Q11 : 日奈久断層を震源とする地震が発生しないか心配なのです が、熊本南部に、タイプⅠaに該当するような地層が分布 している場所はありますか?
島原には軽石の層はありますか? また、要注意断層の近くに軽石の層があると危ないという 事ですか?
(年齢:40代, 性別:女, 住所:記載なし, 職業:勤務者, 質問項目:2.崖崩れ 7.その他(斜面災害))

A11 : 今回のタイプⅠaの崩壊は、地表地震断層の近傍、かつ10m〜15m程度の未固結堆積 物層(火山灰層や軽石層)が堆積しているところで発生しています。 熊本県南部の地層分布や地質構造を確認する必要がありますが、表層部には未固結 堆積物が分布している可能性が考えられることから、その付近では今回と同規模の 地震が発生すると、崩壊が発生する危険性があります。従って、未固結堆積物の分布、その厚さや強度を把握する必要があると思われます。
島原にも軽石層は存在します。但し、単に軽石層の存在のみで危険ということでは ありません。軽石層の分布状況、例えばその傾斜方向が斜面に対して流れて分布す る場合は注意が必要ですが、逆方向に受けている場合は崩壊の可能性は低いと思わ れます。また、今回、高野台などで発生した崩壊地ですべり面となった軽石層(草千里浜軽石層)は指で簡単に潰れるほど風化して、強度が小さくなっていまし た。従って、軽石層の分布や性状について留意する必要があります。(回答者:山本)

Q12 : タイプⅠの崩壊には、地下水の影響はありますか?
(年齢:50代, 性別:男, 住所:記載なし, 職業:選択なし, 質問項目:2.崖崩れ)

A12 : 今回の崩壊では地震発生時、降雨の影響はありませんでした。しかし、タイプⅠ崩 壊の地層構成は、高含水状態の火山灰層や軽石層からなっており、地震の影響によ りこれらの層から水の絞り出しが発生し、移動土塊に対して浮力が生じた結果、崩 壊に至った可能性を否定することはできません。 この崩壊メカニズムに関しては今後の詳細な研究成果を待つ必要があります。(回答者:山本)

Q13 : 斜面災害についての講演の際に、タイプⅠ・Ⅱに対しては、 斜面対策のハードとして法枠工等の抑止工が示されていま したが、今回の地震で抑止工が被災した事例はありますか? ・タイプⅠの斜面災害に対して、地盤改良が示されていまし たが、具体的にはどのような工法が考えられますか?
(年齢:50代, 性別:男, 住所:選択なし, 職業:選択なし, 質問項目:2.崖崩れ 7.その他(斜面災害))

A13 : 空中写真で判読した745斜面は自然斜面を対象に判読しました。既往の抑止斜面の 崩壊は、今回の分析では確認していません。少なからず、ダメージを受けた既存の 抑止斜面が存在するので、これらについては別途の検討が加えられると思います。 ・表層の10m程度までの地盤改良(強度増加を図る工法)が有効と思われます。地盤 改良にはセメントや石灰を利用した改良が考えられますが、周辺環境も考慮して、 最も効果的な(強度が期待され、安価)工法を選定する必要があります。(回答者:山本)


Q14 : 火山研究所西側の地滑り(高野台地滑り)は、阪神大震災 の西宮市仁川地滑りと同様に、すべり面の液状化による 高速流動地滑りと考えて良いですか? また、降雨でも発生しますか?
航空写真しか言及がありませんでしたが、最新のLP図は 調査時に活用しなかったのですか?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:熊本市 中央区, 職業:勤務者, 質問項目:2.崖崩れ)

A14 : 仁川地すべりは、地下水面下の緩い砂質土からなる盛土の下部層が、地震で液状化 したことが原因と想定されていますが、高野台地すべりは、火山噴出物中に層状に 薄く堆積する降下軽石層(高含水層)が、地震の揺れによる過剰間隙水圧で強度低下 を起こし、同層をすべり面として滑動したと想定されます。従って、同じものでは ないと判断されます。また、降雨では発生しないと考えられます。
現地調査を早急に実施するため、入手が困難であった最新のLP図は用いず、地震直 後に公開された航空写真を利用しました。(回答者:徳田)

Q15 : 急斜面だけでなく、緩い斜面でも崩れているという事でし たが、どういった視点で崩れそうなところを想定するので すか?
(年齢:40代, 性別:男, 住所:熊本市 中央区, 職業:勤務者, 質問項目:2.崖崩れ)

A15 : 緩い斜面における崩壊は、降下火山砕屑物の黒ボク・赤ボク(火山灰土)、軽石な どからなる場所で発生しています。火山の噴火でもたらされた降下火山砕屑物は、 火口に近いほど、また、地形が緩いほど厚く堆積物しています。 さらに、降下火山砕屑物は、広い範囲に火山灰や軽石などが交互に層をなして 積もったやわらかい堆積物で、地盤の強度が小さく、中でも弱い層がすべり面にな りやすい特徴を持ちます。 一般に、地形が緩いとその後の雨による浸食や崩壊は進みにくいのですが、今回の ような大きな地震では、緩い斜面でも多くの崩壊が発生しています。これは、厚い 未固結層が強く揺さぶられた結果と思われます。 つまり、崩壊した場所、すなわち地震でくずれそうなところとは、 ①火口から近く ②元の地形がゆるやかで凹凸が少なく(降下火山砕屑物が厚く、滑る時の抵抗が 小さい) ③断層に近い(揺れが大きい) 場所で、地形の勾配が緩から急になるところ(遷急線という)から下方の斜面と言うことが出来ます。(回答者:撰田)

Q16 : 南阿蘇村立野に住んでいます。 裏山のがけ崩れが心配なのですが、今後立野に住み続ける ことは可能ですか?
(年齢:40代, 性別:男, 住所:南阿蘇村, 職業:勤務者, 質問項目:3.住宅・宅地)

A16 : 立野地区は、平成24年九州北部豪雨では、新所地区などで土石流災害がありました。 今回の平成28年熊本地震後は、6月の豪雨時に阿蘇大橋地区の大崩壊箇所や立野地区周辺で、多数の土石流が発生しました。立野地区の外輪山側には地震後も 緩んだ地盤が残存しているところが多いため、斜面崩壊や土石流が発生する可能性があると考えられます。 熊本県では、「土砂災害情報マップ」を公開していますので、それも参考になるか と思います。
(http://sabo.kiken.pref.kumamoto.jp/website/sabo/index.html)
 但し、この危険箇所以外でも熊本地震後に土石流が発生しており注意が必要です。 現在も土石流対策工事が熊本県で進められており、対策工事後であれば、土石流 に対する不安は軽減されるものと思います。 今後も安心して住み続けるには、お住まいの土地で「土石流に対する対策」が完了すること、「熊本地震の地表地震断層」から離れた箇所であることが望まれま す。この2点は特に注意すべきだといえます。この2点だけに着目しても、立野地区のほぼ全域が「危険〜要注意」エリアであることに違 いはありません。 国道57号、国道325号や新阿蘇大橋などの復旧により現地状況も一変することが予想されますので、それについても国土交通省熊本復興事務所などで情報収 集を行うことがよいと思います。 また、生活に欠かせない水道の復旧にめどがつくこともひとつの重要な目安となると思います。(回答者:山本 梅?)


Q17 : 宅地盛土にも小亀裂発生が多かったが、亀裂のタイプに違い があるように思います。 この場合、下位の地盤(地層)の違いに起因するのでしょう か?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:熊本市 東区, 職業:勤務者, 質問項目:3.住宅・宅地)

A17 : 盛土に関わらず、地震で生じた亀裂には、大きく下記の3つがあると考えられます。 ① 地表地震断層による亀裂 ② 緩斜面や平坦面の亀裂 ③ 急斜面の遷急線付近の亀裂 これらの亀裂は、地震後の降雨によって浸食されたり、土壌が崩落していくと、亀 裂内部に土砂が堆積し、その結果「亀裂は消滅」していきます。①の地表地震断層 も余震がなければ亀裂は徐々に消滅していきますが、断層が再活動した場合は、再 び亀裂や段差が発生する可能性はあります。 ただし、③の亀裂は、降雨により「亀裂は拡大」したり、亀裂付近で崩壊が発生したりすることがあります。また山間部の谷では土石流が発生したりしますの で、要注意です。 盛土基礎の地盤の違いにより亀裂のタイプが異なるとの印象は受けませんでした。 今後そのような報告があれば、貴重な資料となると思います。(回答者:梅?)


Q18 : ・益城町の木山地区より西側には、地表地震断層は出現しな かったのでしょうか? また、益城町の中心部(木山地区)で建物の被害が大き かったことと、活断層との関係はどのようになっています か?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:香川県, 職業:教職員, 質問項目:3.住宅・宅地 6.地表地震断層)

A18 : 今回被害が大きかった益城町寺迫地区の国道443号の東側までは地表地震断層を確 認していますが、それより西側では確実に地表地震断層とみられる亀裂は確認でき ませんでした。但し、地表に現れていないだけであって、地下に断層があることを 否定するものではありません。 国土交通省都市局は、地表踏査やボーリング調査・物理探査結果をもとに国道443 号より西側も含め、3条の活断層が分布するとの調査結果を公表しています
(http://www.mlit.go.jp/report/press/toshi08_hh_000034.html)。
 国土交通省都市局の調査結果も踏まえれば、被害の大きかった益城町中心部は活断 層が分布している地区であり、被害が拡大した一因と考えられます。(回答者:矢野(健))


Q19 : 住宅の建物の耐震性の評価基準はありますが、宅盤の耐震 評価基準はありますか? 益城町を視察すると、宅盤の崩壊、異状による住宅被害が 多いように見られます。 宅盤評価基準について説明をお願いします。
(年齢:60代, 性別:男, 住所:熊本市 西区, 職業:勤務者, 質問項目:3.住宅・宅地)

A19 : 宅盤の地震時の被害としては、一般に地盤の液状化、崖地(隣地を含む)の崩壊、 造成地の地すべりや沈下現象、護岸の崩壊や地盤の側方流動等が想定されます。 また、地質構成や、構造の違いによって地震時の振動が異なるため、建築物の被害 状況に違いが現れます。報道等によると益城町における被災状況はこのような原因 が推定されています。 宅盤を含む建築物の耐震性については建築基準法・同施工令等によりますが、前記 事項すべてを網羅する耐震評価基準は定められていません。 木造住宅の耐震診断と補強方法については、一般財団法人日本建築防災協会・国土 交通大臣指定耐震改修視線センター(平成29.5)新耐震基準木造住宅の耐震性能検 証法等がweb公開されており参照してください。 また、一級建築士、住宅性能評価員、応急危険度判定士、木造耐震診断受講者、地 盤品質判定士等に依頼されることが望ましいです。
(回答者:山田)


Q20 : 昨年、本地震の調査関係のフォーラムに参加した際、俵山 大橋に大きな応力がかかった結果、くの字に曲がったという 空中写真を示されましたが、本当ですか? ・地表地震断層は、マグニチュード7程度以下では現れない のであれば、前震では現れなかったということですか?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:大分県, 職業:自営業, 質問項目:4.橋・道路 6.地表地震断層)

A20 : 俵山大橋は、橋桁全体が橋軸方向に圧縮されている可能性があり、その影響で鋼製 の橋桁が座屈変形したと思われます。詳細については、本学会の「2016年熊本・大 分地震災害調査団報告書」のⅣ-4-5「俵山大橋の損傷と周辺地域の地表変位」をご 覧ください。 ・地下の震源(熊本地震では約10km)から地表までの距離が短い場合、断層変位が地 表まで到達することがあります。これを地表地震断層と呼んでいます。 熊本地震の前震は、M6.5ですが、内陸型地震と地表地震断層の出現率について、 M6.5以上では20%、M7.0以上では44%との報告があります。 (遠田晋次(2013)地質学雑誌119,pp.105-123.
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/119/2 /119_2013.0001/_pdf)
 今回のご質問にあります「地表地震断層は、前震では現れなかったのか」について は、前震と本震の間に調査を行っておらず、不明な状況です。しかしながら部分的 には地表地震断層が現れていたのではと推測されます。(回答者:梅?)

Q21 : 水前寺公園の水が一時涸れ、再度湧出したことはどう理解 すれば良いですか?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:熊本市 東区, 職業:勤務者, 質問項目:5.地下水・井戸)

Q22 : 熊本地震後に水前寺公園の水が少なくなりましたが、地震 とはどのような関係があったのでしょうか?
(年齢:30代, 性別:男, 住所:福岡県, 職業:勤務者, 質問項目:5.地下水・井戸)

Q23 : ・水前寺の湧水が涸れ、深度70mの井戸で補われているが、 回復は難しいと思います。
(年齢:選択なし, 性別:選択なし, 住所:熊本市 東区, 職業:勤務者, 質問項目:5.地下水・井戸)

A21, 22, 23 : 水収支の立場から考えると、池の水位が一定であるということは、池への流入量 (収入)と池からの流出量(支出)のバランスが取れているという事になります。 つまり、池の水が涸れるという現象は、何らかの理由で池への湧水量が減ったか、 池からの流出量が増えたことが原因であり、その後、元に戻ったのは、池への湧 水量が増えたか、池からの流出量が減ったからと考えられます。 地下水は、水径(みずみち)と呼ばれる地層中の空隙や亀裂などの水の流れやす い箇所を、選択的に流動しています。従って、池へ流入する水みちが一時的に目 詰まりしたり、流出する水みちが拡大したりすると、池の水が減少したり涸れた りします。逆の場合は、池の水が増加することになります。 但し、水前寺公園で確認された現象が、これらの要因の内、どれに該当するかを 特定することは、調査対象としなかったため判断できません。(回答者:肘井 宮崎)

Q24 : 内牧や水前寺公園などで、温泉や井戸・地下水が涸れた話を 聞きましたが、現在はどうなっているのですか? 水は回復したのでしょうか?
 熊本市内はほとんどの家庭で地下水を利用していると思いま すが、地震の前後で水利用、取水方法に変化があったので しょうか?
(年齢:20代, 性別:男, 住所:熊本県外, 職業:勤務者, 質問項目:5.地下水・井戸)

A24 : 内牧温泉では揚水量が減少したため、揚湯井を再掘削することにより、多くの宿で 温泉を利用できるようになったようです。また、水前寺公園の池の水も以前の水位 まで回復したようです。
水利用や取水方法については、資料を入手していないためお答えできません。(回答者:肘井)

Q25 : 震災後に地下水に濁りが出た、もしくは水量が低下したなど の事例は、どの程度確認されていますか?
(年齢:30代, 性別:男, 住所:大分県, 職業:勤務者, 質問項目:5.地下水・井戸)

A25 : 現地で確認出来た情報は、次のとおりです。 ①水前寺公園の池の水位低下 ②益城町内の井戸の一時的な自噴停止 ③南阿蘇村の塩井社水源の枯渇 ④嘉島町では下六嘉湧水や浮島での水の濁り(回答者:肘井)

Q26 : 地震前にトレンチ調査をされた所はなかったのですか?
(年齢:40代, 性別:男, 住所:宇土市, 職業:勤務者, 質問項目:6.地表地震断層)

A26 : 布田川断層については益城町田中地区で、日奈久断層については城南町鰐瀬地区・ 宇城市南部田地区・御船町高木地区などで実施されています【文献①】。 また、調査成果については、地震調査研究推進本部(地震本部)の【文献②】など に示されています。 なお、布田川断層区間における最新活動時期は6,900年前〜2,200年前以前で、平均 活動間隔は、8,100〜26,000年程度と推定されています。 但し、同じ場所で繰り返し変状が現れるかどうかわからないこと(現れやすいとは 考えられますが)、水平ズレの場合は、変位がわかりにくいことなどを考えると、 調査で確認できた成果は、最低でもこれだけの活動記録が残されていると考えるべ きでしょう。 実際には、もっと多かった可能性があります。 熊本県内のその他の断層では、立田山断層については熊本市北区麻生田地区で、 人吉盆地南縁断層については球磨郡錦町一武宮の谷・錦町横山・湯前町瀬戸口城泉 寺などで行われています。
【文獻】
①「布田川・日奈久断層帯の活動性および活動履歴調査(平成19年) 独立行政法人産業技術総合研究所」
http://www.jishin.go.jp/main/chousakenkyuu/tsuika_hokan/ h18_futagawa_hinagu.pdf 
② 地震調査研究推進本部(地震本部)主要活断層帯の長期評価
布田川・日奈久断層帯の評価
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/katsudansou_pdf/ 93_futagawa_hinagu.pdf     
布田川断層帯・日奈久断層帯の評価(一部改訂)
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/katsudansou_pdf/ 93_futagawa_hinagu_2.pdf
(回答者:花村 坂本)


Q27 : 今回動いた活断層は、また同じ場所で動きやすいのですか?
今後、梅雨や台風などで注意を要する斜面は、どのような ものですか?
(年齢:30代, 性別:男, 住所:合志市, 職業:勤務者, 質問項目:6.地表地震断層)

A27 : 布田川断層や日奈久断層は、過去にも繰り返し活動していた断層です。このため今 後も長いスパンでみると再び活動すると思われます。
地震の揺れにより地盤が緩んでいますので、断層付近の斜面は要注意です。また、 大雨時は斜面に近寄らないことが身を守る最善策です。土砂災害の危険箇所につい ては熊本県の土砂災害情報マップ等を参照してください。
(http://sabo.kiken.pref.kumamoto.jp/website/sabo/index.html)
(回答者:藤野)

Q28 : 地表地震断層の分布と特徴を示したスライドで、地図に示し ていた黒い線は何ですか?
認められた地表地震断層との関係を教えてください?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:記載なし, 職業:自営業, 質問項目:6.地表地震断層)

A28 : 「熊本市地盤図」(社団法人熊本県地質調査業協会/熊本市地盤図編纂委員会編, 2003) 及び「阿蘇火山地質図」(工業技術院 地質調査所,1985)で示されている布田 川断層です。 ・今回発生した地表地震断層は、これら既存の地質図で示された断層の位置から概ね 100m以内で確認されています。ただし、地震前には、南阿蘇村河陽地区より東側で は、火山灰に覆われているため断層が確認されていませんでした。(回答者:矢野(健))

Q29 : ストリップマップをHPで公開してください。
今回の講演会のパワーポイントを公開してください。
(年齢:60代, 性別:男, 住所:選択なし, 職業:選択なし, 質問項目:6.地表地震断層)

Q30 : 各地のストリップマップは、Web等で無償公開されています か?
(年齢:40代, 性別:男, 住所:福岡県, 職業:勤務者, 質問項目:6.地表地震断層)

Q31 : 古い断層のストリップマップの例はありますか?
(年齢:50代, 性別:男, 住所:熊本市 中央区, 職業:勤務者, 質問項目:6.地表地震断層)

A29, 30, 31 : 講演会のスライドファイルは公開しておりません。
地震断層のストリップマップは、九州大学地理空間情報ポータルで公開しています。
http://geoportal.doc.kyushu-u.ac.jp/html/htdocs/?page_id=326
その他の活断層ストリップマップは、産業技術総合研究所のHPから購入することが できます。
https://www.gsj.jp/Map/JP/af-earthquake2.html
(回答者:池見)

Q32 : 地溝帯と断層の違いは何ですか?
地溝帯上に断層は多く存在するのですか?
(年齢:50代, 性別:男, 住所:福岡県, 職業:教職員, 質問項目:6.地表地震断層)

A32 : 地溝帯とは、平行に分布する2本の断層で画された構造性の凹地のことで、断層そ のものではありません。
地溝帯の形成には、正断層や鉛直成分を伴う走向移動断層の活動が関係しているた め、地溝帯の中には断層が多く分布すると考えられます。しかし、その実態は、地 下の深い場所であるため、把握するのは容易ではありません。(回答者:矢田)

Q33 : 断層の位置を詳しく知りたい場合、地表の変位を調べる他に どのような方法がありますか? 例えば、「地表の変位・変状の調査」「トレンチ掘削による 地層の観察」「航空写真等による断層位置の推定」以外の 方法はありますか?
(年齢:40代, 性別:男, 住所:熊本市 西区, 職業:勤務者, 質問項目:6.地表地震断層)

A33 : 活断層の分布を調査する方法には、 ① 空中写真等による地形判読 ② 地質構造のギャップを調べる物理探査 ③ 断層の位置を絞り込むためのボーリング調査 ④ 断層のずれの状況を直接目視で確認するトレンチ調査 があります。 これらの調査項目は前段の調査結果を踏まえつつ、段階的に進めていくもので、 単独で行っても活断層の詳細な位置を知ることは出来ません。 一方で、地表地震断層については、必ずしも既知の活断層と同じ位置に出現する とは限りません。詳しくは調査団報告書をご覧ください。(回答者:矢田)


Q34 : 断層は面なのに震源は何故「点」なのですか? 1点で破壊しているからですか?
震源付近での岩盤のズレ(断層)と地表地震断層のズレに はどのような関係がありますか?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:熊本市 中央区, 職業:無職, 質問項目:6.地表地震断層)

A34 : 震源とは、‘断層面の中でもっとも初めに破壊が始まり地震波を発生させる点’ と定義されます。震源が点で表現されるといっても1点で破壊する訳ではなく、 断層面に沿って破壊(ズレ)が進行していきます。 ・震源断層の変位が地表面にまで到達したものが地表地震断層であるため、両者の 大局的なズレの成分は一致しています。(回答者:矢田)

Q35 : 今回の熊本地震は、横ずれ断層との報告でしたが、場所に よっては土地が沈下したように感じられる所もあります。 また、河川の堤防沿いには大型土のうも設置されています。 今回の熊本地震で、どの地域でどの程度土地が下がっている のか、数値等があれば教えて下さい。
(年齢:20代, 性別:男, 住所:熊本市 中央区, 職業:勤務者, 質問項目:6.地表地震断層)

A35 : 国土地理院のHPに地震前後の各基準点の変動量(水平量、鉛直量)が公表されて います。その観測データによると、鉛直変動は熊本では20cm沈下しており、南阿 蘇村の長陽では逆に23cm程度隆起しています。また、水平変動は熊本で約75cm程 度北東方向へ移動し、長陽では反対方向となる南西方向へ97cmの移動が観測され ています。 また、同じ国土地理院のHPには、益城町周辺の航空レーザー測量のデータがある 地域に関して、地震前後の測量データの差分による地盤の変動量を段彩図として 公表しています。そのデータによると地震前と比較して1〜2m程度沈下している 地域も見られます。 (参照:国土地理院HP:平成28年度熊本地震に関する情報
http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H27-kumamoto-earthquake- index.html)
 なお、横ずれ断層(走向移動断層)の場合、場所によって変位が異なり、沈下や 上昇を伴う場合が多く認められます。(回答者:萩野)


Q36 : 益城町堂園(今回、横ずれ変位で水田の畔が大きくズレた 所)には大蛇伝説があり、その大蛇は布田川に沿って阿蘇 西原方面に行ったと伝えられていることから、地震断層を 表すのものと思いました。 まさに布田川断層の延長の断層群と一致しており、伝承の 重要性を示している事例だと思います。
(年齢:40代, 性別:男, 住所:選択なし, 職業:自営業, 質問項目:6.地表地震断層)

A36 : 堂園池の大蛇伝説では、西原村河原の大蛇(女性)に会いに行き、大矢野原の 野焼きに会い焼け死んだとなっています。付近には、女性の大蛇伝説として 「白糸の滝」にまつわる伝説があり、もし、相手が「白糸の滝」の大蛇であれば、大矢野原の野焼きに巻き込まれたことと、地理的にはあってくるような気がし ます(なぜ焼け死ぬ必要があったかについては良く分かりません)。 また、蛇とか龍というのは水にまつわる伝説に良く登場してくるようです。 さらに、この地域は、大和朝廷に従わなかった「土蜘蛛」が多く住んでいた地域 であると考えられます。それらを考えると、地震と関係があったかどうかについ てはもう少し検討してみる必要がありそうです。 ただ、このような伝承は、地震だけではなく、何かを後世に伝えようとしている 可能性があり、現代人は伝承にもっと目を向けることが大事なのではないかと思 います。(回答者:坂本)


Q37 : 熊本大分地震災害報告会ということで、熊本に関しては歴史 や被災状況の報告がありましたが、大分の地表地震断層や 被災状況について教えて下さい。
(年齢:30代, 性別:男, 住所:鹿児島県, 職業:勤務者, 質問項目:6.地表地震断層 7.その他(災害))

A37 : 大分では、今回の地震での地表地震断層は確認されていません。しかし、大分市 から別府市、由布市、玖珠町にかけては、多くの活断層があることが知られてい ます。そこには、過去の地震により形成されたと考えられる急崖があり、中には地表地震断層の崖もあるでしょう。大分の被害は、熊本ほどではありませんが、 別府、湯布院を中心に被害が発生し ました。家屋の損壊は3,000棟程度、土石流や斜面崩壊、道路盛土の陥没等が合わ せて20件程度です。また、別府港の埋め立て地では液状化も確認されています。(回答者:縄田)

Q38 : 熊本市街地〜阿蘇山周辺の河川の流れ(流れている方向)と 活断層にはどのような関係がありますか? ・過去の地震が地形として認められる所(地形の特徴)を教え て下さい。
(年齢:50代, 性別:男, 住所:記載なし, 職業:勤務者, 質問項目:7.その他(地形))

A38 : 阿蘇カルデラから流れ出る唯一の河川が「白川」であり、立野から熊本空港の北方 を、ほぼ直線的に西流し、熊本市内を貫流しています。現在の白川は、活断層とあまり関係なく流れているように思われます。 しかし、 ①白川のカルデラからの流出口は、断層沿いに位置する、 ②文献資料では、白川周辺の一部に東西性の断層が推定されている、 ③高遊原溶岩の噴出で白川の流路が変わり、現在の河道になった可能性もあり、現白川の流下方向と断層の関係は、一概に否定出来るものではありません。 ・「断層が動いて地震が生じた」ということで、断層地形についてお答えします。 山地と低地の境界が線状に延びるとき、そこには断層が存在している可能性があり ます。 縦ずれ成分を伴う正断層や走向移動断層では、地盤に垂直的なくいちがいを生じま すので、そこに段差(断層崖)が形成されます。新しい時代の断層崖はまだ明瞭です が、古い時代の断層崖は浸食されたりして、不明瞭になっています。また、地形の 人工改変(宅地造成や圃場整備等)により、断層崖など断層の痕跡を示す地形は見えにくくなりつつあります。 横ずれ成分が卓越している走向移動断層では、水平的なくいちがいが生じます。熊 本地震でも、田畑の畝や畦に「ずれ」が生じています。「ずれ」の規模が大きくな ると、河川の流路や山地の尾根筋が系統的に屈曲します。この屈曲点を結ぶ線に 沿って断層が認められます。(回答者:矢野(寛))

Q39 : 一般人は、地震や自然災害について、どのような意識と心構 えを普段からしておけばよいでしょうか?
(年齢:40代, 性別:男, 住所:鹿児島県, 職業:勤務者, 質問項目:7.その他(防災))

A39 : 自然災害から身を守るために私達が出来ることとして、以下のようなことが考えら れます。 ①危険の認識: 身の回りでどんな災害が起こり得るのかを知っておく必要があります。 地震、津波、洪水、がけ崩れ、土石流、地すべり等々、地域によって発生する災 害は異なります。敵を知ることで、初めて効果的な備えも可能となるでしょう。 ②災害時の対応準備: 万が一の災害発生の時にどのように行動すべきか、予め明確にしておく必要があ ります。どこに、どの程度の余裕を持って避難するべきかは発生する災害によっ て異なります。また、住民同士や地元自治体等と緊密に連携することが求められ る場合もあり、その役割分担なども決めておくと迅速な行動が可能となります。 ③知識や組織の維持・継承: 災害についての知識や地域に根付いた防災組織等を、一時的なものとしてはいけ ません。子や孫の代まで維持・継承していくことで、初めて災害に強い社会が実 現できます。(回答者:大石)

Q40 : なぜ9,000年前の地震が伝承されているのですか?
ハザードマップはどこがまとめて公表していますか?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:合志市, 職業:勤務者, 質問項目:7.その他(伝承))

A40 : なぜ「健磐龍命の伝説」が伝承されたかというと、以下のようなことが考えられま す。 ①平易な言葉で表現されており、みんな、特に子供にも理解しやすい内容だった。 ②大和朝廷にとって都合の良い形に修正され、大和朝廷の広報活動の1つとして利 用された。 ③親から子へとつないでいくシステムに乗っかった。 東北でも、「てんでんこ」という話が伝えられているようです。これについても、 同様のシステムに乗ったため伝承されたものと考えられます。このシステムに乗せ るためには、①で示したように「平易な言葉」で表現されていたことが伝承されてきた大きな理由ではないでしょうか。今回の地震の記憶や知識を伝承していく には、現在の教育システム(家庭内、地域、学校など)にどのようにして取り込んでいくかを考えていかなければならないと思います。
ハザードマップは、各市町村で提供されていると思います(HPでも確認できるもの もあります)。その他、J-SHIS(地震ハザードステーション)でも少し詳しい情報 が公表されています。 但し、ハザードマップというのはあくまでも、他の地域よりも危険性が高いか、低 いかを示しているだけです。従って、危険性が低くても「安全な地区」という意味 ではありませんので、注意が必要だと思います。(回答者:坂本)

Q41 : 益城町に津波は来ますか?
(年齢:60代, 性別:男, 住所:福岡県, 職業:選択なし, 質問項目:8.その他(津波))

A41 : 熊本県のHP
(http://www.pref.kumamoto.jp /kiji_229.html)
に「熊本県津波浸水 想定について」と題して津波浸水想定図が掲載されています。 津波浸水想定とは、最大クラスの津波が悪条件下において発生した場合に想定され る浸水の区域(浸水域)と水深(浸水深)を表したものです。 この資料によりますと、益城町は浸水想定区域から遠く内陸部に離れており、津波 の心配はありません。 参考までに過去に日本で発生した最大の津波、そして世界最大の大津波の話を書い ておきます。 日本で起こった最大の津波は、ナント!!その高さ85.4mに達したと言われています。 この津波は、1771年4月24日(明和8年3月10日)午前8時頃、先島諸島(特に八重山 列島)で起こった八重山地震に関連した海底地すべりが原因で発生したと考えられ ています。この災害では、震害はほとんどありませんでしたが、島を横断するほど の規模の大津波で、宮古・八重山両列島合わせて死者・行方不明者約12,000人・家 屋流失2,000戸以上という惨事が起こっています。この津波の被害は、発生直後だけ に収まらず、後の世にも長く影響を及ぼし、津波で浸水した地域では耕作可能地の 多くが塩害を受け、農作物の生産が低迷し、飢饉と疫病などが明治時代初頭まで続 いたとされ、この影響で人口は地震前の1/3程度まで減少したと言われています。 世界に目を向けますと、1958年7月9日、アメリカ合衆国アラスカ州のリツヤ湾 (Lituya Bay)で発生した大津波は、その高さはナント524メートルに達し、観測 史上最高とされています。この津波は、氷河で削られてできたフィヨルドと呼ばれ る入り組んだ海岸地形を呈する場所で、対岸の山肌が地震で大きく崩れて発生した と考えられています。ちなみに、このとき起こった山肌が大きく崩れる現象は、山 体崩壊と呼ばれています。 もう一つおまけの話で、山体崩壊が原因で発生した大津波の記録が熊本にも残って います。それは、1792年5月21日(寛政4年4月1日)、雲仙岳の火山性地震で長崎県 島原市にある眉山が山体崩壊したときに発生した大津波です。有明海を挟んで対岸 に位置する熊本県熊本市では、この山体崩壊で衝撃を受けた海面が大津波となって 押し寄せ、熊本市の河内、塩屋、近津付近で15〜20mの高さに達したという記録が あります。この津波被害で、肥後領下では5000人余りの死者・行方不明者が出たと されており、この一連の災害は、「島原大変肥後迷惑」と称され、後々まで語り継 がれる有史以来日本最大の火山災害です。(回答者:北川)

Q42 : 熊本城の被害が大きくなった要因は何ですか? 立田山断層が動いたとは聞いていませんし、布田川断層から は離れていると思います。
(年齢:60代, 性別:男, 住所:熊本市 東区, 職業:勤務者, 質問項目:7.その他(熊本城))

A42 : 熊本城の被害が、布田川断層から同程度の距離にある周辺の建物に比べて大きいと いう印象を受けますが、理由として以下が考えられます。 ①地質構造立田川断層は変位していませんが、立田川断層は熊本城北側に存在しており、断層に沿って分布する弱い地盤の存在が、熊本城 全体の被害に影響している可能性があります。熊本城は文化財ですので、これまで城内行われたボーリング調査は限られており,熊本城の 地下地質構造は完全には解明されていません。今後、復旧に向けた地質調査により詳細が解明されると思われます。 ②地震動に対する耐性一般に、高い建物(構造物)は地震時の揺れが増幅されるため、低い建物に比べて被害が大きくなりやすいことが考 えられます。また、熊本城の石垣は、地震で発生する大きな変位を、個々の石垣が少しづつ変位することで分散し、全体としては、大きく 崩れないような構造になっているという解釈もされています。しかし、今回の地震による崩壊は、こうした仕組みが耐えられる以上の揺れ が作用した結果と考えられます。 ③設計・施工技術現在建設されている橋梁や高速道路の橋脚は、巨大地震でも完全には崩壊しないような設計と施工が行われていますが, 熊本城築城当時には、巨大地震に対応できるような技術がなかった点も理由の一つとして挙げられます。もし,現在、熊本城のような重要 構造物を造るとすれば、必ず巨大地震を考慮した設計・施工が行われます。また、文化財であるため,復旧方法に築城当時は存在していな かった現代技術(免震・耐震構造の導入、地盤改良、コンクリートや鋼製補強材等の使用)を適用することについて,賛否両論があるよう ですと思われます。(回答者:山地)


Q43 : 国土地理院都市活断層図では、立田山断層は清水町までしか 書かれていません。今日の資料では、立野までとなっている ようですが、これはどのような調査の結果ですか? なぜかと言うと、私の居住地である龍田3町内は、宅地被害 がひどく(先日4月9日熊日新聞に取り上げられた)、断層で はないのか?と昨年から個人的に色々調べています。 しかし、今回の地震では、あまり立田山断層についての情報 がありません。自宅も被害を受けたので、大変気になってい ます。
(年齢:40代, 性別:女, 住所:熊本市 北区, 職業:自営業, 質問項目:8.選択なし)

A43 : 現在までの調査研究で確認されている立田山断層は、都市活断層図に示されるよう に東は清水町までとなっています。今回我々の調査で立野まで伸びているとした断 層は布田川断層と呼ばれ、これは南の嘉島町から益城町、西原村を経て立野、さら には阿蘇まで伸びています。我々はこの範囲を実際に歩きながら確認していきまし た。 お住まいの龍田三丁目につきましては、申し訳ございませんが我々の調査の範囲で はないので詳細は分かりませんが、今回立田山断層が動いたという報告はなされて おりません。 但し、一番近くで地表に断層の動きが確認された益城町寺迫までは約7kmとなって おり、この距離であれば地震動の減衰(地震の揺れの減少)は僅かであり、かなり の揺れがあったものと思われます。(回答者:矢野(健))

Q44 : 地表が揺れない地震はありますか?
崩壊の区分はどのように利用すべきですか?
(年齢:40代, 性別:男, 住所:鹿児島県, 職業:勤務者, 質問項目:8.選択なし)

A44 : 変位の速度が異常に遅い地震は、揺れをほとんど感じない地震:サイレント地震と 呼ばれており、火山島やプレートの沈み込みの周辺に多いと言われています。
本調査による崩壊の区分は、地形や地質の特徴と関連性を持たせてあるため、斜面 の地形・地質特性を把握することで、地震時の斜面の危険度を想定する際の指標に なると思います。(回答者:徳田)